無念・・フルマラソン完走

木津川マラソン走ってきました。
時間のない人のため、一言だけ今日の感想を。
「今日一日の経験だけでも、今まで生きてきた価値はあった」。
それくらい強烈な経験でした。


長文覚悟で当日のドキュメントをまとめてみます。

9:00前に会場到着
 霞がかかった、春のような天気。100%河川敷のサイクリングロードで、景色も楽しみたいコースだが、あまり遠くまで見通せない。しかし、そのぶん気温も暖かく、なにより雨が降っていないということで、十分マラソン日和。
 
9:10ステージで準備体操
 日本オリエンテーリング協会の会長でもある山西哲郎さんによる準備体操。この人、ランナーの世界では超有名と聞いていたが、本当だったんだ。放送でも「山西先生」って言われているし。
 みんなレース前ということでかなり緊張の面持ち。



10:00運命のスタート(0分経過)
 狭い狭いサイクリングロード。参加者2686人の一斉スタートでは、スタートゲートをくぐるまでに1分以上かかる。全然スピードが出せない。しかし、それはもう織り込み済み。「5㎞まではウォーミングアップ」のつもりでゆっくりゆっくり走り出す。

10㎞地点(55分経過、第一折り返し)
 「4時間」を目標に、1㎞あたり6分のペースで走ろうとしていたのだが、1㎞当たりのタイムがどうしても5分30秒を切っていく。特につらいと感じるわけではなく、快調に走れるので、そのまま維持。10㎞近くまで来たときには、1㎞あたり5分10秒まで上がっていた。「42㎞とか余裕じゃね?」と思い始める。


15㎞地点(1時間20分経過)
 ここで最初のアクシデント発生。右ひざの裏筋に痛みが走る。あと30㎞以上あるというのにここで足の故障は致命的。早めたペースをいったん落とし、さらに止まって軽くストレッチ。幸いその後痛みが再発することなく、ペースも元通りに戻す。
 ・・ちなみに、コースの傍で立ちションしたのはこのあたり。トイレはコース中に何個か用意されていたのだけれど、待ち時間が惜しくて、他のランナーとともに立ちションで済ませる。・・思えば、女性ランナーはこういうことができないから大変だよなぁ。。


20㎞地点(1時間48分経過)
 一旦会場の前を素通り。「もう半分来た!?42㎞とか余裕じゃね?(パート2)」ということで、目標を3時間45分に再設定。さらに、快調なテンポに任せてペースアップ。1㎞あたり5分0秒にまで引き上げ、他のランナーをごぼう抜き!・・すべての悲劇はここから始まった


28㎞地点(2時間30分経過)
 マラソンは30kmくらいが一番きついらしい。逆に、30㎞を走り切れば、あとは惰性でゴールまでたどり着ける。そう考えていた僕であったが、30㎞を目前に異変が起こる。
 意識が朦朧とし、手がしびれ、体が動かなくなる。
 明らかな低血糖だ。
 血液中の糖分が枯渇し、栄養が末端に行きわたらなくなってきた。
 たまらず立ち止まり、ストレッチ。そしてゆっくり歩きだす。「休憩を入れれば、かならずまた復活できる」そう信じてじっと我慢。

30㎞地点(第二折り返し地点)
 2回目の折り返し。もう帰るだけである。そう思うと徐々に体が復活。また走り出すことが出来た。以前のようなペースは無理でも1kmあたり6分まで復帰。ゴールまであと12㎞。このペースを維持できれば6〜7分の余裕を残して「4時間」の目標を達成できる。自分の体を信じ、ひたすら走る。

35㎞地点(3時間20分経過)
 しかし、現実は厳しい。またしても低血糖が襲ってきた。今度はかなりひどい。歩くことさえままならない。たまらずその場に座り込む。意識が飛んでいく。このまま突っ伏して寝てしまいそう。スタッフや他の参加者に心配されたら迷惑極まりないので、なんとか前を向く。それがやっと。
 歩いては座り、座っては歩き、そうこうしてたら4時間のペースランナーに抜かれてしまった。

 15分以上経過し、またなんとか復活。もう気持ちだけだった。気持ちが萎えたら絶対に終わっていた。しかし、今度は足が動かない。長時間立ち止まったせいで筋肉が硬直しきっていた。一歩一歩に痛みが走る。さらに、4時間という目標が大きく遠のいたことで、無理をする力が出てこなかった。

39㎞地点
 歩きながらのゴールというのはあまりにも恰好が悪い。せめて最後はしっかり走り切ってゴールしたい。エイドのボランティアの声援を聞きながら、そう思い直し、走り続けた。もうペースは1km7分台。一歩ずつ、着実にゴールを目指す。

40㎞地点
 ゴールが見えた。帰ってきた。少しだけペースが上がる。

42㎞地点
 「トンネルを抜ければ、夢のあと195m」の横断幕に迎えられる。そして、トンネルを抜けたその先には、ボランティア、地元の方の大きな声援が待ち受けていた。
 帰ってこれた。
 走り切れた。
 それだけで涙が溢れ、フィニッシュゲートをくぐる。



 タイムは4時間9分42秒。実は、もう少しだったのだ。でもそんなこととは関係なく、ここまで走ってこれたことに純粋に感激してしまった。
 この4時間、苦あり楽あり涙あり。フルマラソンは人生そのものだなんていう人が居るけど、本当にいろんなことがあった。次の挑戦があるかどうかわかりませんが、本当に貴重な体験をさせてもらえました。


最後に。
 ともに走った2000人以上の同志。
 豊富なエイドステーションでの給食と給水
 沿道の方々の声援
 ボランティアの方々の陰ながらの働き

それらのどれが欠けてもこの4時間9分42秒での完走という結果は残せませんでした。
素晴らしい大会でした。
本当にありがとうございました。